今回の記事は当院に来院される方で一番多い肩こりについて解説させていただきます。
肩こりについて様々な角度から解説をしていきます。
この記事を最後まで読んでもらうと、肩こりについて理解が深まり自分の肩こりがどれに当てはまってどの様に解決すればいいのかわかります。
一般的な肩こりの解説
肩こりとは、肩の筋肉が硬直し、痛みや不快感を引き起こす状態を指します。
特に日本人に多いのが特徴で、海外の方にはあまり馴染みがないみたいで、肩というよりは首こりと表現される様です。
一般的な原因としては、デスクワークやスマートフォンの使用で肩や眼に疲労が溜まってしまいます。
今の時代でパソコンやスマートフォンを使わない日はないと思います。
そのため肩こりの原因として現代のライフスタイルが大きく影響しています。
肩こりは、単なる筋肉の疲労や緊張だけでなく、生活習慣や姿勢・心理的なストレスなどさまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。
そのためただ単純に筋肉をほぐせばいいというわけではありません。
しっかりとその方の背景に合わせて施術をしていくことが大切です。
一般的な肩こりの原因と症状
肩こりの主な症状としては、肩や首の痛みや重さやこわばり、または頭痛など肩から首にかけて不調を訴える方が多いのが特徴です。
これらの肩こりの症状は、座ってデスクワークなど長時間に渡り同様の姿勢を続けることで悪化していきます。
ひどい場合には腕のしびれや吐き気、めまいを伴うこともあります。
肩こりで筋肉が固まってくると身体全体の疲労感や集中力の低下を引き起こし、仕事をしているのがしんどくなったり気分が落ち込んで無気力になるなど日常生活の質の低下を招いてしまうことがあります。
肩こりの具体的な原因
肩こりの原因は長時間同じ姿勢になるというのが主ですが、以下のような要因も考えられます。
1. 姿勢の悪さ:長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、前かがみの姿勢が続くと、肩や首の筋肉に過度の負担がかかります。
2. 筋肉の緊張:ストレスや精神的な疲労が筋肉の緊張を引き起こし、血流が悪くなり筋肉が酸素不足になります、体の冷えによっても肩の筋肉が固まりやすくなります。
3. 運動不足:肩まわりの運動不足による筋力低下や血行不良が肩こりを引き起こします。
4. 重い荷物の持ち運び:片側の肩に重いカバンをかけるなど、身体のバランスが崩れることが肩こりの原因になります。
重いカバンを持っていることで腕が痺れてしまう胸郭出口症候群にもなりやすいです。
5. 睡眠環境の問題:枕やベッドが身体に合っていないと肩こりが起こります。また睡眠が深くないことで身体の回復が悪くなります。
東洋医学的な肩こりの見解
東洋医学では、肩こりは「気滞血瘀(きたいけつお)」や「湿邪(しつじゃ)」によって引き起こされると考えられます。
気滞血瘀とは、気や血の流れが滞ることで生じる状態をいいます。
道路でいうと道が渋滞してしまい、車が進まなくて目的地に必要な物資が届かない状態です。
この様な方は強めの刺激を好んでいて、痛いぐらいの圧で肩周りを刺激すると楽になる傾向です。
湿邪は湿気が体内にこもり、血行を悪化させる状態を指します。
特に、梅雨時期に関節付近に重だるさを訴えるのが特徴です。
肩周りの筋肉の状態を緩ませるアプローチと身体の湿気を取り除く食事が大切になってきます。
一般的な肩こりの評価
1. カウンセリング
カウンセリングは、相手の身体の状態を知るために症状や生活習慣、既往歴などを詳細に聞き取います。具体的には、以下のような項目について質問します。
症状の詳細:肩こりの部位、こりの程度、発症時期、持続時間、こりの強さの変動など
生活習慣:仕事の内容や姿勢、運動習慣、睡眠の質や時間、食生活など
既往歴:過去の病歴や怪我(特に肩周りの怪我)、手術歴、現在服用している薬など
トリガーとなる要因:肩こりが増す動作や状況、逆に肩こりが良くなる時など
この様なカウンセリングにより肩こりの原因を特定していきます。
2. 姿勢分析
姿勢分析では、肩こりの原因となる姿勢や体のバランスを観察します。具体的には、以下のポイントを確認します。
姿勢:前かがみや猫背、左右の肩の高さの違いなど
筋肉の緊張:肩、首、背中の筋肉の硬さを確認
肌の色や腫れ:健康な部位と肌の色の違いを確認
3. 動きのチェック
動きのチェックでは、実際に動かしてもらい筋肉や関節の状態を確認します。具体的な方法としては、以下が挙げられます。
筋肉の緊張やこわばりの程度を確認
痛みの部位を特定し、圧痛点を探す
肩関節や胸椎の可動域を評価し、制限があるかどうかを確認
具体的な整形外科的なテスト
肩関節の可動域テスト:前方挙上、側方挙上、外旋、内旋などの動作を行わせ、痛みや動きの制限を評価
首の動きの検査:前屈、後屈、側屈、回旋などの動作を行い、痛みや可動域の制限を確認
筋力テスト:肩や首、背中の筋肉の力を測定し、筋力低下やアンバランスがないかを評価
整形外科的テスト:ジャクソンテスト・スパーリングテストなどで頚椎に異常がないか確認、またアドソンテスト、モーリーテストなどで胸郭出口症候群がないか確認
肩こり以外にも違う症状がないか除外していきます。
東洋医学的な肩こりのツボ
肩井(けんせい)のツボ
このツボは肩こりのスタンダートなツボです。
一番凝りやすいといっても過言ではない箇所で、僧帽筋上にあるツボです。
第七頸椎と肩峰を結んだラインの中点にあります。
ここはうつ伏せで狙っていくポイントで前方から後上方に向かって僧帽筋を持ち上げて剥がしていく様にすると効果的です。
この時の術者は、ベッド下から肩井のツボを後上方に狙っていくと体重を乗せてアプローチすることができます。
雲門(うんもん)のツボ
烏口突起の指1本分下のツボで小胸筋が関与しています。
デスクワークなど同じ姿勢になっていると胸の前が固まってしまいます。
ツボを見ると大胸筋の上からアプローチしたくなるのですが、大胸筋の下に指を入れていき肋骨の上のゴリゴリしている筋肉をアプローチしていきます。
寝違えにも効果的なツボで、指でアプローチをして刺激を入れたまま頚部を動かしていくと改善することが多いです。
また睡眠が浅く疲れが取れないという方にも呼吸を深くすることができるので効果的なツボです。
天宗(てんそう)のツボ
肩甲骨の真ん中で肩甲棘の下の凹みにツボがあります。
肩こりの方は棘下筋の硬さがリリースされることで楽になる方が多いです。
また腕に痺れがある方にも天宗のツボが効果的で、棘下筋を刺激すると同じ様に指に痺れが出ることがあります。
このまま刺激を続けていくと指の痺れが取れてきます。
頸椎症や頚椎ヘルニアなどの診断で、手術をしないと指の痺れが改善しないという方にも一度ここのツボを試す価値はあります。
肩貞(けんてい)のツボ
脇の下と腕の付け根の交わる所にツボがあります。
教科書的には肩甲骨の外縁を表面から刺激する様に書いておりますが、脇の中から母指で肩甲骨外縁に当てる様にすると効果的です。
特にこの肩貞のツボは、寝違えにとても効果的なツボです。
頚部の動きが悪い時は、肩甲骨外縁から広背筋を刺激をすると改善していきます。
また寝違えには淵腋(えんえき)のツボが効果的です。
脇の中央から指4本分下方にツボを取ります。
ここは前鋸筋(ぜんきょきん)という肩甲骨を前方に動かす筋肉があります。
前鋸筋が硬くなってしまうと肩甲骨の動きが悪くなり肩こりの原因になり、呼吸も浅くなるので寝ても疲れが取れないという身体の状態になってしまいます。
なので脇から肋骨の側面にかけては、頚部の動きや呼吸に大切なポイントになります。
風池(ふうち)のツボ
乳様突起(にゅうようとっき)から後頭窩(こうとうか)に向かう線上の中点に風池のツボがあります。
ここには後頭下筋群(こうとうかきんぐん)という眼を動かす時に支点となる筋肉が存在します。
カメラでいうところの手ブレを防ぐ機能の役割をしています。
パソコン仕事なので眼を使う仕事をしていると風池のツボ周辺の筋肉が硬くなってしまいます。
その結果として眼精疲労と肩こりになってしまいます。
施術としては、仰向けに寝た状態で風池のツボを刺激にしながら目を閉じて、眼球を左右へ向いて眼球内の筋肉にストレッチをかけていきます。
眼球内の筋肉を緩ませていくと眼の疲労が取れていき、首と肩の筋肉も緩まっていきます。